こんばんは、千姫です。
ツイッターでも紹介したのですが、今日はこの本から話に入らせていただきましょう。
真梨幸子さんの「人生相談。」
新聞の悩み相談コーナーに寄せられる、数々の悩み。
深刻ものから、ふざけて書いたようなもの、これは創作では?と思わせるものまで、
その数は多岐に渡ります。
「悩み相談」を軸に展開されていく、登場人物たちの狂い始める人生...
真梨幸子さんといえば「イヤミス」の女王。
ミステリーであり、ブラックな読後感を残す作風が高く評価されています。
真梨さんの本を読むと、ハッピーエンドだけが美しいわけじゃない、ということを思い知らされる。
思えば、プロとして小説を書くようになってから、ハッピーエンドばかり書いてきたような気がします。
若い読者をターゲットとしているレーベルなので仕方ないといえば仕方ないのですが、
本来の千姫作品は現在メルマガで配信している小説のように、
痛々しくて胸がヒリヒリして、読んでどうしようもない気持ちにさせられるものが中心。
読者にすっきりした、という気持ちを与えるより、読み終わった後、これでいいのかな...とため息をつきたくなる小説のほうが、実は好きなんです。
「インディーズ」時代はそんな小説ばかり書いてきましたから。
なので、自分のやりたいことが存分に表現できていない、ライト文芸のレーベルで書くという今の状況は、正直、少し苦しい部分があります。
私はみなさんが思っているようなきれいな人間じゃないし、絞り出す作品だって、こんなにきれいなものばかりじゃない。
現在のライト文芸はハッピーエンド、ほっこり系、一辺倒な気がしますが
それだけが表現じゃない、という思いも強くあります。
読んで幸せな気持ちになる、なんか救われた。
そういう小説はたしかに美しいけれど、それだけが表現ではないのです。
特に今の情勢を考えると、ブラックなものよりはハッピーエンドやほっこり系を読みたくなるのも、人間としては当然の心情かな、とは思います。
でもハッピーエンド、ほっこり系だけに読書の趣味が偏るのも、それはそれでどうなんだろう...という気がしてしまうのです。
そんな思いで出した作品が、アンソロジー「ラストは絶対、想定外」に出した短編、「たまご」。
もともと「インディーズ」時代、純文学系の賞に出して落選した作品なのですが、
その当時の私らしい、きりきり尖ったアイスピックのような小説になっています。
読者の方は「え、これで終わりー!?」と、「ラストは絶対、想定外」のラストが
本当に想定外だった、という感じの感想を頂きましたが
これが出される時、担当さんに「本当に私の作品がラストでいいのですか?」と聞いてしまいました。
他の方の作品がハッピーエンド、ほっこり系だったので、
「たまご」を読むことでその気分が台無しになるのではないかと。
もう置いてない本屋さんも多いですが、気になる方はネット注文していただけると嬉しいです。
もうひとつお話させていただくと、
現在ステキブンゲイで連載中の「初恋の終幕」も、今までの千姫作品とはがらっと趣を異にしたもの。
中学生の初恋ストーリーなのに、三角関係になっちゃったり、四角関係になっちゃったり、
とにかくドロドロとしています。
性描写もきっちりと、手加減なく書いています。
とても気に入っている「インディーズ」時代の作品なのですが、
こういうのが書きたい私は、やっぱりライト文芸という枠の中では少し窮屈なのかな、と思ったり。
もちろん、ライト文芸はこれからも書き続けますが
もう少し高い年齢層を意識した、「文芸」にもトライしていきたいな、と私的には思うのです。
端的に言うと、ハッピーエンド、ほっこり系ばかりは書きたくありません笑
別にハッピーエンドもほっこり系も嫌いなわけじゃあないんですよー。
でも、そればっかり書いていると、やっぱり飽きる(^^;)
私が若い世代に伝えたいのは、こんな過剰にキラキラした世界なのか!!
と思っちゃうんですよね。
「ヒッキーヒッキーシェイク」の津原泰水さんも、昨年夏のおはなし会で同じことおっしゃってましたが。
美しいハッピーエンドだけでなく、美しいバッドエンドも書ける作家に成長していきたいものです。
それでは、今日もこの言葉で締めましょう。
人類がコロナに勝利した姿をイメージして。
ヴィクトリー♡
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