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ブログ限定小説「終わりのための11分」第二十五話
少年院を出た後、あたしは引き取り手がいない未成年のための更生施設に送られた。三日で、そこを飛び出した。既に十八歳になっていたあたしは、もう堂々と身体を売れる年齢になっていた。もう大嫌いな「まともに生きてる大人たち」の顔色を窺うこともなければ、女子だらけの世界で他の女の子に気...

櫻井千姫
2021年6月22日読了時間: 7分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第二十四話
第十二章 奇跡 あたしと同い年ぐらいの客は長い髪をひっつかみ、ガンガンと激しいイラマチオをしてくる。 喉の奥まで侵入してくるペニスが苦しく、あたしは息さえもろくにできない。弱弱しく泣き声を漏らすと、客はより興奮したらしく、その手の、その腰の、動きがよりいっそう激しくなる。...

櫻井千姫
2021年6月21日読了時間: 5分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第二十三話
第十一章 塀の中 「ちょっと慌ただしいけど、ごめんね」 刑事たちは、思ったよりも優しかった。深夜に覆面パトカーに乗り、警察署に連れて行かれたあたしを、ちゃんと気遣ってくれる。向こうも相手が未成年で、しかも女子ということで、それ相応の心構えをしているのだろう。...

櫻井千姫
2021年6月20日読了時間: 8分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第二十二話
あるところでぷつんと、意識が途切れた。テレビを切ったかのように、視界が失せ、聴覚が失せ、なんにもない「無」の状態に放り出された。 それがほんの数分のことだったのか、一時間、二時間に及ぶものだったのかわからない。 気が付けばあたしは薫の家の近くの小さな公園でベンチに座っていた...

櫻井千姫
2021年6月19日読了時間: 6分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第二十一話
待ち合わせは十八時、駅から少し離れたところにある、住宅街のど真ん中にある小さな公園だ。遊具は滑り台とブランコ、シーソーが申し訳程度にあるだけ。どれもまったく手入れがなされていないのか、ブランコなんて乗った途端に崩れ落ちそうなほど板が傷んでいる。こんな危なっかしい公園で子ども...

櫻井千姫
2021年6月18日読了時間: 8分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第二十話
第十章 終わりのための十一分 律希に電話をかけると、一度目は出なかった。十五分置いて、もう一度かける。電車の中なのかと思い、次は一時間置いた。ようやく繋がった。 「あたし、決めた。律希の力で、過去に戻る」 「了解。千咲が決心してくれて良かった」...

櫻井千姫
2021年6月17日読了時間: 4分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第十九話
律希は頭を抱えた後、机の上に突っ伏してしまった。何度か大きく身体を痙攣させた後、動かなくなる。あたしたちの異変を察した店長さんが、慌ててやってくる。 「彼氏、どこか痛いのかい?」 「いや、ちょっと、頭が痛いみたいで……」 「救急車ならすぐ呼べるけど」...

櫻井千姫
2021年6月16日読了時間: 6分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第十八話
第九章 タイムリミット 十五時を回った頃、ソファーの上で目覚める。薫たちは既に仕事に出かけてしまっていて、家の中にはあたし一人しかいない。 お腹はあまり空いていなくて、なぜか猛烈にニコチンが欲しかった。ベランダに出て、マルボロに火を点ける。見上げた空には秋らしい輪郭が曖昧な...

櫻井千姫
2021年6月15日読了時間: 11分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第十七話
「最近、変な人に尾けられてないか?」 西さんと一緒に戻ってきた東さんが言う。言葉の意味がわからず、あたしたちは揃って首を横に振る。 「それ、ストーカーって意味ですか? あたしたち、東さんがいつもきっちりホディガードしてくれるから、そんな目には遭ったことないですよ」...

櫻井千姫
2021年6月14日読了時間: 7分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第十六話
第八章 不穏 一週間、律希に会わなかった。正確には、会えなかった。 律希に「副業」をやめさせないといけないのに、律希を失うことだけはどうしても避けなければと思うのに、律希に向き合うのが怖かった。あの日、ヴィラジュリアにセックスもせず一泊した律希は、次の日にはすっかり元気を取...

櫻井千姫
2021年6月13日読了時間: 7分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第十五話
終電の時間になってもまったく電話が鳴らないので、「キャッツ」は夜の営業をやめた。今日はクスリを盛られた薫以外、全員お茶だ。万札を受ける時、まだ顔色の悪い薫はあまり嬉しそうな顔をしなかった。自分がドラッグを盛られたという事実が、衝撃的過ぎて何も考えられないのだろう。...

櫻井千姫
2021年6月12日読了時間: 6分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第十四話
第七章 代償 律希とのセックスは、回を重ねるごとに気持ちよくなっていく。 律希はいつも挿入する前に、あたしの身体の隅々に舌を這わせる。耳の中、首筋、背中、お尻の谷間、太ももの内側。爪先まで、律希が舐めるとそこにセックスの神様が宿ったかのように快感が輪を描いてあたしの内側から...

櫻井千姫
2021年6月11日読了時間: 8分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第十三話
八時に来ると言っていたその客は電車が遅れただの取引先から連絡が入っただのあからさまに嘘っぽい理由をつけて、結局九時半まで来なかった。西さんは新規のその客について、ぶつぶつと恨みつらみを吐き散らしていた。 「一時間半も遅れるなんて、ロスタイムが多過ぎるよ。その前に千咲ちゃん、...

櫻井千姫
2021年6月10日読了時間: 5分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第十二話
薫とひよりが仕事に行ってしまい、東さんはひよりのボディガード、西さんは私用で出かけていて、カラオケ館の一室にはあたしと聖良の二人きり。せっかく二人だけなので、たまには歌うか、とマイクを握った。あたしは椎名林檎の「ギブス」を歌い、聖良は「LOVEマシーン」をノリノリで歌ってい...

櫻井千姫
2021年6月9日読了時間: 6分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第十一話
あたしと祐平は、小学校の高学年までは下校を共にしていた。 同じ方面の小学生たちと一緒に帰っていても、最後はいつも二人きりになる。二人っきりで今日はクラスの誰がおならをしてすごく臭かったこととか、五時間目に寝ていた同級生が先生にこっぴどく叱られたこととか、そんなどうでもいい事...

櫻井千姫
2021年6月8日読了時間: 9分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第十話
「えー、それで結局、セフレ状態なの!? ありえなくね!?」 カラオケ館の中、薫が目を丸くして声を上げる。あたしの話を聞いていた聖良とひよりは苦笑いをしていて、西さんと東さんもやっぱり苦笑しながら、煙草を吸っていた。十五時から店を開けているけれど、今日のキャッツは暇だ。...

櫻井千姫
2021年6月7日読了時間: 9分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第九話
その日は三人の男と寝て、午前三時に接客が終わった。いつものように西さんたちはラブホテルの一室を押さえていて、あたしはそこへ向かう最中、ドンキホーテで買い物をすることにした。目的はコスメ。聖良の持ってるチークが、薫の持ってるアイシャドウが、気になっていた。さすがドンキ価格、両...

櫻井千姫
2021年6月6日読了時間: 10分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第八話
「今日ね、祐平くんに告白しようと思うの」 今からちょうど一年ほど前。期末テストが終わり、夏休みが間近に迫ったその日、七緒は言った。以前から七緒は祐平が好きだとあたしに打ち明けていて、それを応援するとあたしも言っていたけれど、さすがにその言葉には打ちのめされた。...

櫻井千姫
2021年6月5日読了時間: 10分
ブログ限定小説「終わりのための11分」第七話
第四章 痛い過去 学生は、まもなく夏休み。普段から学校なんて関係ないという子どもたちが昼間からうろついている渋谷の街だけど、いよいよ本格的な夏が始まるとなると、街は水を得た魚のようにいよいよ活気を増す。マルキューは相変わらずセールをやっていて、ギャルたちは原色の夏服に身を包...

櫻井千姫
2021年6月2日読了時間: 10分


あっという間の5月だった
こんばんは、千姫です。 小説ブログ以外、久しぶりのブログになりました。 今日で5月も終わりですが、5月はあっという間だったなぁ。 誕生日があって、新作のプロットを担当さんとやり取りして。 今年は6/4実業之日本社GROW様より発売「16歳の遺書」の後、...

櫻井千姫
2021年5月31日読了時間: 3分
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